〜特集〜夕方の演出、女性は夕方にショッピングする 格調の高さ、話題性、芸術性など他の追随を許さないショッピング街 

 女性は「夕暮れ時」に一番買い物をしたくなる。夕方こそ購買衝動に駆られる。というデータがある。それならば、いつも夕方の時間帯の雰囲気をショッピングセンターが醸し出すことが出来れば「モノ」が売れるということになる。その「演出」を行うことにより、他と比べて良く売れるショッピングセンターが誕生する。今回は全米でNo,1のショッピングセンターと東京『ヴィーナスフォート』の昼から夜へ変化する演出をレポートする。

1,女性のためのテーマパーク『ヴィーナスフォート』はトイレが広い
   東京臨海副都心に、女性のためのテーマパーク『ヴィーナスフォート』が今年8月25日にオープンした。開業2ヶ月の来場者は300万人、1日の来場者は平均4万人、週末は7万人になる。ここは17〜18世紀のヨーロッパの美しい街並みが再現されたエンクローズド型のショッピングモールで、メインプロムナードを見上げると、ラスベガス『フォーラムショップス』で有名になった、ドゴール・デザイン・アソシエート社による「もうひとつの空」が刻々と表情を変え、まるで、イタリアや南フランスの古い時代にタイムスリップしたような感覚に包み込まれる。総延べ床面積13,352坪の巨大な敷地の中に婦人服、雑貨、コスメティックなど137店が軒を連なる。対象を20歳代の女性に絞り込み、ロマンチックな女心を大満足させてくれるショッピングモールである。特に注目は女性トイレの広さといわれている。これまでにないワクワクのショッピングが楽しめる。

2,米国で売り上げNo,1のショッピングセンターの仕掛け
ショッピングセンター『ヴィーナスフォート』は、全米でNo,1のショッピングセンターで売上は全米ショッピングセンター平均の五倍もあるという、米国ラスベガスの「ザ・フォーラム・ショップ」に酷似している。それは同じ会社(ドゴール・デザイン・アソシエー)がデザインしたことと、『ヴィーナスフォート』の運営する会社が、かなりラスベガスの「ザ・フォーラム・ショップ」を研究したことによると思われる。  ラスベガスにある「ザ・フォーラム・ショップ」(The Forum Shops at Caesars )は「古代ローマ」をテーマに徹底したデザインを施されたエンターテイメント性の高いショッピングセンターで、ラスベガスの人気ホテル「シーザーパレスホテル」のショッピングモールという好立地も功を奏し,全米最高の坪効率を誇っている。97年夏には約8000坪の拡張工事が完成し,総テナント数は105となり、よりバーチャル性を高めた装飾と演出で世界中から訪れる人々を魅惑して益々人気に拍車をかけている。テナントには,「Louis Vitton」「Gucci」「Gianni Versace」など有名専門店がそろい,これらの店の本来持つ風格とモールのローマ調の神秘性が完全にマッチし,他のショッピングセンターでは追従できないほどの高級感を醸し出している。

3,女性は夕方の時間にショッピングする
  このショッピングセンターで有名なのが天井の演出である。ドゴール・デザイン・アソシエート社による「The SKY」は、ショッピングセンターのモールの天井に空が描いてあり照明によって、その空の表情が刻々と変わる演出が仕掛けてある。照明の演出により日中から夕空へと変化して、やがて夜空に。その繰り返しが約1時間の間隔で繰り返されている。我々の住む地球では24時間に一度夕刻が表れるが、このショッピングセンターでは1時間ごとに夕暮れが訪れる。実際に見ると感動もので、日の出から夜空まで刻々と変化する。昼間の空と思っていたら、夕刻になり、モール内も夕焼けで赤く染まり、そのうち、薄暗い夜に。そしてまた、明るい朝になるといういう仕組みである。  女性は、夕方に購買衝動が強くなるという心理学の実験結果がある。昼でもなく夜でもないその中間の「夕暮れ時」に時間あたりの売り上げが高いという実際のデータがある。それならば、いつも夕方の時間帯の雰囲気をショッピングセンターが醸し出すことが出来れば「モノ」が多く売れることになる。  さらに「ザ・フォーラム・ショップ」内には1時間に一度,石像が動き出し語りかけるアトラクションがあり、この噴水はフェスティバル・ファウンテンと呼ばれている。このショーもここでは人気で、酒の神様バッカスや美の神ビーナスなど4体の石像で作られた神々が時間になると、天井に映し出された雷鳴とともに突然動き出して、堅い石像がまるで人間のように柔らかく表情豊かに話し出す。ショーの終盤にはレザー光線も飛び交い、最後は観客の盛大な拍手で終わる。さらに現在、次ぎの仕掛けを計画中で、ローマの庭園を再現し,毎晩パーティーを行う予定である。

  4,時代は「時間」の奪い合いへ突入である
多くの本屋で、椅子と机を配置して座り読みができるようにしたり、書店の中に飲み物が飲める施設などを創ったりといった喫茶店付き本屋は日本でも珍しくなくなった。立ち読みを注意された昔と比べると、座って自由に本を読むことを推奨する本屋は180度態度が変わったといえる。何故、本屋さんの態度が変わったのか?それは顧客が一つの店に滞在した時間とその顧客が本を買う金額の相関関係が調査データから判明できたからである。店の売り上げは、少しでも長く顧客を店内に滞留させることができるかどうかにかかっているのだ。  まずは顧客を惹き付けること、惹き付けた顧客をそこに長く滞在させることが、他と比べ高い売り上げを上げることになる。それでは「顧客を惹き付ける方法は」というと、『ヴィーナスフォート』や『ザ・フォーラム・ショップ』などに視られる話題性である。他のショッピングセンターがやっていないようなこと、出来れば旅行雑誌にのるような話題性が重要になる。次に女性トイレを他と比べ圧倒的に広くして快適性を醸し出したり、照明や音の演出で「楽しさ」を創り出したりする努力が必要になる。そういう意味で『ヴィーナスフォート』や『ザ・フォーラム・ショップ』は、客を惹き付けることと、その顧客を長く滞在させることを一つの仕掛けで両方満足させると同地に、そのような仕掛けを同時に多く持っている。  店舗数や価格で及ばなくても、格調の高さ、話題性、芸術性などにおいては他の追随を許さない、単なるショッピング街としてではなく、超一流の店として、また観光スポットとして名高くなれるかどうかが勝負。あなたのお店は観光スポットになりますか?

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